田中真紀子氏が加計問題に参戦 安倍首相を厳しく批判(AERA 17/6/20)

田中真紀子氏が加計問題に参戦

加計学園問題で、田中真紀子氏が沈黙を破った。安倍自民党に敗れた民主党政権最後の文部科学相が、安倍晋三首相に「もう限界」と退陣を迫る。
「西山事件に似ているなと。女性問題へのすり替え。でも人間だれも完璧じゃない。これじゃ正論を言う人が出てこなくなる」
西山事件は、沖縄返還での日米両政府の密約を毎日新聞記者の西山太吉氏が暴き、国家機密を漏らすよう外務省女性事務官をそそのかしたとして1972年に逮捕され、有罪になった問題だ。起訴状に女性事務官と「情を通じ」と記され、世間の関心は男女問題へ移った。

加計学園問題では、安倍首相の友人が理事長を務める学校法人の学部新設予定地を国家戦略特区に指定することを「総理のご意向」と記す文部科学省の内部文書が明らかに。その存在を前文科事務次官の前川喜平氏が証言する報道の3日前、前川氏の新宿・歌舞伎町の出会い系バーへの出入りを読売新聞が報じ、菅義偉官房長官が記者会見で批判した。

●首相に助言の勇者なし

安倍首相は国会での野党の批判に、「私と付き合いがあったら特区に指定されないのか。おかしな話だ」「問題があると言う方が立証するのは当然」と反論。「今も半分自民党」と語る田中氏は、政権の劣化を嘆く。
「厚顔無恥、傲岸不遜(ごうがんふそん)。権力を得てゴリ押しがまかり通ってきた。今回は同じ手法は通らないと国民はわかっているのに、自民党議員は右向け右。“安倍はひどい”とこぼすベテランはいるけど助言する勇者はいない」
首相は加計学園の件は民主党政権の検討結果を引き継いだとも述べるが、田中氏は「大臣当時に一切検討していない。文科省にも改めて確認した」。後任となった安倍内閣の下村博文氏への引き継ぎを否定する。
前川氏の証言を「責任者の時に堂々と言うべきでは」と批判した菅官房長官に、田中氏は「現役の時に言えるわけがない。全くアンフェアな主張で、いじめのようなものだ」と憤る。文科省は「国民の声」(松野氏)を理由に再調査。同じ内容の文書があったと15日に発表した。

●当選同期という因縁
安倍氏と田中氏の因縁は深い。安倍氏の祖父岸信介氏、田中氏の父角栄氏は自民党でそれぞれ大派閥を率い、岸派の流れをくむ福田赳夫氏と角栄氏による70年代の激しい首相の座争いは「角福戦争」と呼ばれた。
二人はそうした自身のルーツを強く意識する。自民党の長期政権が崩れた93年衆院選で初当選。激動する政界でともに将来の首相候補とも言われた。
「歴史認識が違うのよ」。44年生まれの田中氏はそのころ、社会保障の会議の席で、54年生まれの安倍氏とふと交わした「私語」を日記につけている。

田中氏「日本が敗戦して」

安倍氏「真紀子さん、今なんて言った?」

田中氏「敗戦よ」

安倍氏「あれ終戦なんだけど」

田中氏「中国や東南アジアへの侵略戦争でしょ」

安倍氏「違う違う。アジアを解放するために行ったんだ」

十数年後の06年、首相になった安倍氏と、自民党を離れた田中氏が国会で火花を散らす。

安倍氏「(初当選の)あの時、同期で田中さんこそ総理になるのではと印象を持っていた。就任した以上は日本を正しい方向に進めていきたい」
田中氏「期待もありますが、失礼ながら子どもが大人の革靴を履いて道路に出て右へ右へと歩いていきそうな、危なっかしい印象を持つ人もいます」

●政治は私のDNA
2度目の首相になっても何かにつけ「この道しかない」と語る安倍氏の姿勢を、田中氏は「単線」と表現する。
「トランプさんと似ている。わかりやすいから一定の支持者がいるけど、これだけグローバルでリアルタイムに世界が動く時代に一本調子は危うい。複線、複々線でないと」
その危うさが、加計問題や森友問題での脇の甘さとして露呈したとして、安倍氏に「もう能力の限界」と退陣を勧める。

「第1次政権と合わせて5年半もやったんだし、辞めたらいい。トップが代われば風通しがよくなる。嫌なら即衆院を解散してほしい。民進党は相変わらずポップコーンがはじけたみたいで、すぐ代表選に出るとか、離党するとか、国民がうんざりするのはわかるけれど、自民党を大勝ちさせるとは思わない」

(構成/朝日新聞専門記者・藤田直央)
※AERA 2017年6月26日号
https://dot.asahi.com/aera/2017061900088.html より抜粋

朝日の記事だからと思うかも知れませんが、安倍首相の包囲網が広がりつつありますね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です